患者さんおひとり、おひとりが「その人らしい生活を送ることが出来るように」ということを目標に、これからも皆様からの声を真摯に受け止め、患者さん・ご家族 にやさしい緩和ケアを提供できるように努力したいと考えます。
伊勢崎市民病院 緩和ケアチーム一同より
病気になられた方々は、それがどのような病気であれ、乗り越えて行こうとされると思います。
しかし、病名が悪性腫瘍であると言われた場合に受ける精神的なダメージの大きさは、経験したことのない者にとって想像を絶するものがあります。2人に1人が悪性腫瘍で亡くなる時代になったのは事実でも、自分や大切な人にそれが降りかかってきた時、初期か進行期かに関わらず冷静ではいられないのが実情です。私たちトータルサポートチームは、そのような方たちの闘病生活を精神面、身体面の双方から支えていきたいと考えています。
私は身体面の症状のコントロールを担当しており、痛み、呼吸困難、腹部の張り、だるさなどについて主治医と相談していく立場にありますが、拝見した時、様々な症状を我慢している方が実に多いのに驚かされます。一般的に苦痛を我慢したほうがよい場合は少なく、何らかの手段で体が楽になったほうが、体力も気力も落とさずに闘病生活を続けることができます。完全に症状を消し去ることはできなくても、日常生活に差し障りがない程度までに軽くできることは多いのです。
また、一般病院の範疇ではありますが、食事のサービスがついていますので、化学療法、放射線療法などで食事がとりにくい方々にもご利用いただきたいと考えています。
身体面担当医師 廣野 正法
皆さんはサイコオンコロジ-という言葉を聞いたことがありますか?これは日本語で精神腫瘍学といいます。
ちょっと難しく響きますが、簡単にいえば「こころと体を切り離しては十分な治療にはならない」というメッセージが含まれるということです。
近年、慢性的情動ストレスが、生体の自然治癒力にゆゆしき影響を与えていることがわかってきました。情動ストレスの中でも、癌などの病気に対するストレスはその最たるものであると同時にそのケアの重要性が叫ばれています。
トータルサポートチームでは、身体的苦痛のみならず、メンタルの苦痛も緩和し、いわゆる全人的医療を実施していきたいと考えています。
お気軽にご相談下さい。
精神面担当医師
体に強い痛みがあると、今まで出来ていたことが出来にくくなり、気持ちも沈みがちになってしまうと思います。
痛みを取り除く方法はいくつかありますが、その一つに医療用麻薬というものがあります。麻薬、という言葉を聞くと怖いイメージがあると思いますが、それは覚醒剤等の悪用されている薬です。医療用麻薬は、体に強い痛みのある人が使った場合、中毒などは起こらないと証明されています。
現在使用できる医療用麻薬は、飲み薬のほかに注射薬や坐薬、貼り薬、といった種類も増えてきており、ここ10年でかなり開発が進んでいます。
痛みは自分にしかわかりません。痛みや他の気になる症状をスタッフに伝えてください。お薬に少したよってはいかがでしょうか?医療用麻薬を用いることで、感じる痛みをゼロに近づけることができるようになってきました。
相談していただき、ご自分に合った薬を選ぶことが安全でもあり、痛みのない生活にもつながると思います。
薬剤師
癌に罹患することは、人生の中でも特にストレスとなる出来事の一つと考えられています。これは患者さんだけでなく、ご家族にも同じことが言えます。不安になったり落ち込んだりするのは決して精神的に弱いからではなく、当然の反応だと思います。
臨床心理士は精神科医師とも連携しながら、患者さんやご家族のこころの負担を少しでも軽減することを目指しています。気持ちのつらさは言葉にして語ること、それを丁寧に聴いてもらうことで整理され、病気と向き合っていく力にもつながるのではないかと思います。お気軽にご相談ください。
臨床心理士 神山 麻沙美
2003年1月から活動を開始し、2024年3月までに約7,000人の患者さんやご家族を支援してまいりました。月に30人前後の紹介を主治医から受けて、専門の医療スタッフが対応しております。
診療部長 廣野 正法