膵臓の腫瘍は、頭部、体尾部と分けて捉えます。体の右側、胆管や十二指腸に近い側が頭部、体の左側、脾臓に近い側が体尾部です。
下部胆管癌、膵頭部、それと十二指腸乳頭部(胆管、膵管の十二指腸開口)にできた癌に対しては、膵頭十二指腸切除を行います。
胆管、膵臓、消化管の3系統を切除し、再建する手術です。
膵頭部癌と体尾部癌のいずれも、膵臓癌は予後不良です。胆膵内科、糖尿病内科などと協力して、できるだけ早い時期に膵臓癌を診断し切除を行い、膵臓癌から治癒する人を増やしたいと考えています。
消化器外科は胃、大腸の外科が代表的ですが、それに加えて食道外科、肝胆膵外科部門があります。
消化管から吸収された栄養は門脈系血管を通り肝臓に流れ、横隔膜を超えて心臓を経て全身に回ります。一方、肝臓からは胆汁が分泌され、胆管を通じて十二指腸に注がれます。
膵臓は十二指腸と肝臓の間にあり、胆汁とともに十二指腸に膵液を送る外分泌、また門脈にインスリンなどのホルモンを送り込む内分泌を行っています。肝胆膵外科は、これら肝臓、胆道、膵臓、十二指腸それと脾臓を扱う外科として位置づけられます。
胆石症に関しては、消化器外科医師が対応します。
肝胆膵腫瘍に関しては、肝胆膵担当の医師2名が担当しています。
肝臓外科の主な対象疾患は、原発性肝癌、転移性肝癌です。原発性肝癌は肝細胞癌と胆管細胞癌がありますが、肝細胞癌はB型、C型肝炎、それに起因する肝硬変が併存していることが多く、手術に耐える肝機能が確保されていなければなりません。
肝腫瘍の治療は、肝動脈を介しての治療、肝臓を穿刺してのラジオ波治療、外科的切除がその3本柱で、病変の状態と肝機能や年齢などを考慮し、肝臓内科と肝臓外科が治療方針を話し合い患者さんに提言します。
転移性肝癌のうち、特に大腸からの転移は切除すると予後の改善が期待されます。
切除可能な転移性肝癌に対して積極的切除の方針をとっています。