ハイブリッド手術室とは、高度清潔環境が求められる手術室内にX線透視装置を設置した治療室のことです。手術台に多軸透視撮影システムを組み合わせることで、これまでは血管造影室で行っていたカテーテルを使った心臓などの血管内治療と外科手術による治療を1つの部屋で行うことを可能にしました。血管内治療中に外科的な治療が必要になった際に、患者さんに移動してもらうことなく治療することができるため、より安全に難易度の高い治療を受けられるようになります。
大動脈の病気はある日突然起こり、時にはそのまま死に至ることのある病です。その日までは特に症状もないことから、『サイレントキラー』と呼ばれています。このような病気に対しては、これまで胸や腹を大きく切開し人工血管に取り換える方法のみが治療手段でした。
近年の医療技術の発達により、大動脈の病気をカテーテルを用いて小切開のみで治療を行うことも可能になりました。血管内で人工血管を組み立てるステントグラフト手術です。当院はこれまでこの治療を積極的に導入して参りました。現在では県内はもとより、北関東で最も多くの手術を行っております。
低侵襲で治療が行えることから、術後の回復も良好で、ご高齢な方や他に病気をお持ちの方でも早期離床が可能です。ご多忙で早期復職を目指したい若い方もメリットは大きいものと考えております。ハイブリッド手術室ではその精度をさらに高めることができ、より確実で安全な手術が可能となります。
低侵襲心臓血管治療センター長 安原 清光
ハイブリッド手術室においては、任意の時にCT用画像が撮影可能なため、脊椎固定術の際に使用するインプラントの刺入位置を、術中に容易に確認出来ます。更に、通常ナビゲーションシステムを使うにあたっては、術前に仰向けで寝た姿勢で撮影したCT画像を用いますが、ハイブリッド手術室においては、手術中の体位で撮影した画像を用いますので、より精度の高い環境下でナビゲーションシステムを使用することができます。
当病院では2018年5月14日にハイブリッド手術室を開設し、同日から稼働を開始しました。