当部門では、安全で精度の高い放射線治療を行っています。精度の高い治療を行うには、毎回同じ治療体位を再現することと、動かないことが必要です。また、排尿・排便・空腹など、治療時の内臓の状態を一定にすることも大切です。治療部位や疾患によっては、息を吸って止めた状態で治療する吸気位息止め照射や、息を吐いたときのみ治療する呼吸同期照射を行うこともあります。副作用を軽減し治療効果を最大限にするためにも、患者さんの協力やセルフケアが欠かせません。患者さん一人ひとりが放射線治療を完遂できるよう、心がけてまいりますので、よろしくお願いいたします。不安や疑問に思うことなど、遠慮なくお気軽にご相談ください。
放射線療法は、手術療法・化学療法とともにがん治療の3本柱とされています。放射線療法は患部を切除しないため身体の形態や機能を保つことができ、手術や化学療法に比べて体への負担が少ないため、高齢の方や合併症のある方でも比較的安全に外来通院で治療を行うことができます。放射線治療は、がんを根絶する根治治療だけでなく、がんによる疼痛などの症状や苦痛を和らげる緩和的治療もあり、がん治療のあらゆる段階において幅広く用いられている治療です。治療装置や技術の進歩に伴い、高精度な治療が可能となったことから放射線療法が選択される機会は増え、多くの疾患で治療成績が向上しています。疾患により、手術療法や化学療法と組み合わせて行う場合もあり、各科の専門医とカンファレンス等で正確な診断・最適な治療法を検討し集学的治療を行っています。当施設で実施できない特殊な放射線治療については、県内外の放射線治療施設への紹介を行っています。院内の各科及び他施設と連携して、最適な治療を提供できるよう努めてまいります。
主任診療部長 樋口 啓子