令和3年度da Vinciシステム(Xi・X)更新

(左)手術アームが多数装備されている手術装置の写真、(中央)上部モニターの下に手術の監視モニターが多数装備されている写真、(右)椅子のような手術装置ユニットの写真

da Vinci Xiシステム

(左)上部モニターの下に手術の監視モニターが多数装備されているやや小型化された装置の写真、(中央)手術アームが多数装備されているやや小型化された手術装置の写真、(右)中央に椅子のようなコンソールユニットの写真

da Vinci Xシステム

ロボット支援手術実績

ロボット支援手術実績一覧
項目   合計 2023 2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014
前立腺がん 1,139 141 136 113 121 137 122 122 125 100 22
腎がん 239 33 26 31 30 32 43 27 17    
尿路上皮がん 20 10 10                
膀胱がん 59 9 17 12 9 8 4        
骨盤臓器脱 7 5 2                
胃がん
(幽門側切除)
131 30 38 25 11 16 11        
胃がん
(噴門側切除)
7 1 4 1 1            
胃がん(全摘) 41 14 10 11 6            
直腸がん 157 36 40 36 19 22 4        
結腸がん 41 20 21                
肺がん 78 29 32 17              
縦隔がん 28 13 10 5              
合計  1,947 341 346 251 197 215 184 149 142 100 22

手術支援ロボット「ダヴィンチ」の導入について

 伊勢崎市民病院では、患者さんの体に負担が少ない治療の一環として、腹腔鏡手術を積極的に行ってきましたが、より安全で質の高い最先端医療を提供できるように、2014年9月から手術支援ロボット「ダヴィンチSi」を導入し、2021年3月にロボット支援手術の実績が1,000件を超えました。
 外科、泌尿器科領域でロボット支援手術の保険適用手術が増えてきたことに対応するために、2021年6月に手術支援ロボット「ダヴィンチXi」・「ダヴィンチX」を導入し2台体制となりました。
これからも、より安全で質の高い最先端医療の提供に努めてまいります。

手術支援ロボット「ダヴィンチ」の特長

従来の開腹手術、腹腔鏡手術に比べ以下のような特長を有します。

  1. 安全性:合併症リスクの軽減、出血量の減少
  2. 確実性:良好な治療成績
  3. 機能温存:尿禁制からの早期回復
  4. 低侵襲:痛みの軽減、早期の社会復帰
開腹手術の創部のイメージイラスト

開腹手術の創部

ロボット手術の創部のイメージイラスト

ロボット手術の創部

医師のコメント

低侵襲で回復が早い先進手術

 手術支援ロボット「ダヴィンチ」を使った前立腺がん手術には様々なメリットがあります。

  • 傷口が小さい
  • 出血が少ない
  • 術後の痛みが少ない
  • 術後の機能回復が早い

などの特長があり、患者さんに優しい手術です。

開口部モニターを眺めながら手術を進めている医師や看護師の写真

 ダヴィンチ手術は患者さんに負担の少ない腹腔鏡手術の精度をさらに上げる先進手術です。
 従来の腹腔鏡下手術に比べて操作性が高く、手元のコントローラーで操作する手術アーム先端の鉗子は人間の手の動きを正確に再現するとともに、関節の360度回転などロボットにしかできない動きもできます。また、ズーム機能により、今まで確認が困難だった微細な血管や神経が確認できるようになり、より精密な手術が可能となります。

患部を2つの手術アームで縫合している写真

3次元の立体映像

 10倍のズームが可能な内視鏡カメラによって、より精密な手術が可能になります。

両手で手術アームを操作している写真

コントローラー

 2本のコントローラーでロボット本体の3本のアームと1本のカメラを操作します。また、手ぶれ補正機能によって正確に操作することができます。

胃がんのロボット支援手術

幽門側胃切除術

幽門側胃切除術のイメージイラスト「肝臓」「食道」「胃」「幽門」「腸」「胆のう」「切除範囲」

幽門側胃切除術のイメージ図

胃がん手術において最も多い術式です。胃の広範囲と胃の周りのリンパ節や胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節を取り除く手術です。

胃全摘術

胃全摘術のイメージイラスト「肝臓」「食道」「脾臓」「胃」「腸」「胆のう」「切除範囲」

胃全摘術のイメージ図

胃の周囲のリンパ節や脂肪を含めて胃をすべて切除する手術です。病変の大きさやがん細胞の場所等によっては、脾臓も切除する場合があります。胃を切除した後、腸を切って食道とつなぎます。

膵上縁リンパ節郭清

膵臓上部のリンパ節を切除する術式です。がん細胞が転移しているリンパ節を予防的に切除し、腫瘍の取り残しを減らすために行います。ロボット支援手術では、多関節ロボットアームによって膵臓を動かさずにリンパ節を切除できるため、膵臓への負荷を軽減することができます。

(左)〈通常の腹腔鏡手術〉真っ直ぐな手術アーム2本で行う通常の腹腔鏡手術イメージイラスト「膵臓」「動脈」「静脈」「リンパ節」まっすぐな鉗子を用いるため、膵臓を動かしてリンパ節を切除、(右)〈『ダビンチ』による手術〉多関節手術アーム1本で行う負担の少ないダビンチによる手術イメージイラスト「膵臓」「動脈」「静脈」「リンパ節」多関節アームによって、膵臓に極力触れずに切除

直腸がんのロボット支援手術

直腸切除術

病変から肛門まで距離がある場合に行う術式です。
肛門は残るため、手術後もご自身の肛門から排便ができます。

(左)がんを含む切除範囲を示したイメージイラスト「S状結腸」「がん」「腹膜反転部」「直腸」「肛門」血管を処理し、病変を切除(可能な限り自律神経は温存)、(右)手術後の縫合が済んだイメージイラスト「腹膜反転部」「吻合線」残った腸同士をつなぎ合わせます。

直腸切断術

病変が肛門に近い場合に行う手術です。
病変を取り残さないために、肛門括約筋(肛門をしめたりゆるめたりする筋肉)を切除する可能性があります。
その場合は、人工肛門(ストーマ)を造ることで、自然肛門の代わりに排泄を行います。

ロボット支援手術のメリット

従来の腹腔鏡手術では、身体の深部に進むほど動きの幅が大きくなり、ぶれが発生しやすいということがありました。また、先端角度が一定のため、操作に制限がありました。
ロボット支援手術では、ロボットアームならではの「手ぶれ防止機能」や人間の手では不可能な「広い可動域」によって深部での手術もより正確に行うことができます。

(左)〈通常の腹腔鏡手術〉ブレが起きやすい腹腔鏡手術のイメージイラスト「支点」「膀胱」「前立腺」深部では支点からの距離が遠くなるため、動きが大きくなり、ブレやすくなる。、(右)〈『ダビンチ』による手術〉手ブレがしにくいダビンチによる手術のイメージイラスト「膀胱」「前立腺」手ブレを防止でき、多関節機能により、鉗子先端を意図する角度に操作することも可能。